163 ★ 戯 : お茶

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お茶の話

日本茶: お茶の発祥地は中国雲南省と言われています。お茶は製法の違いにより発酵茶、半発酵茶と不発酵茶の大きく3つに分けられます。発酵茶としては紅茶が知られています。緑茶は不発酵茶で、玉露、煎茶、抹茶、番茶などに分けられています。いずれも原料はツバキ科ツバキ属のチャです。品種的には紅茶に適したアッサム種と緑茶向きの中国種に分けられます。日本茶の栽培地の北限は秋田県能代市の檜山茶で、北海道、青森、山形には茶園はないそうです。世界中には何百種類というお茶がありますが、チャの木はもともとは一種類しかなく、何千年という歴史の中でさまざまな品種、変種が生まれ、茶の製法が改良されてきたことによると言われています。お茶の呼び方は、「チャ」か「テイ」の2系統しかなく、広東語系の「チャ」にはチャー、チャイ、チャーヤ、ジャ、シャー、シャイが、福建語系の「テ」にはティ、テーイ、テー、ティー、テアと呼ばれている国があります。日本茶の学名は「カメリア・シネンシス」です。

主な日本茶と産地: 北から、檜山茶(秋田県)、村上茶(新潟県)、奥久慈茶、猿島茶(茨城県)、狭山茶(埼玉県・東京都)、南部茶(山梨県)、足柄茶(神奈川県)、静岡茶(川根、天竜、本山、森、掛川、菊川、やぶきた茶など)(静岡県)、美濃茶(岐阜県)、西尾茶、新城茶(愛知県)、近江茶(滋賀県)、宇治茶(京都府)、伊勢茶(三重県)、大和茶(奈良県)、丹波茶、母子茶(兵庫県)、紀州茶(和歌山県)、島根茶(島根県)、岡山茶(岡山県)、阿波茶(徳島県)、香川茶(香川県)、土佐茶(高知県)、愛媛茶(愛媛県)、山口茶(山口県)、大分茶(大分県)、八女茶(福岡県)、嬉野茶(佐賀県)、彼杵茶(長崎県)、熊本茶(熊本県)、宮崎茶(宮崎県)、青柳茶(熊本・宮崎県)、知覧茶(鹿児島県)などがあります。ほかにも産地の地名がついたお茶があります。

茶 名

特 徴

玉露

日本茶の中でもっとも高級な茶です。新芽が伸び出した頃によしずなどで覆い、直射日光を当てないで育てます。煎茶よりは緑色が鮮やかです。渋みがなくまろやかで甘味とうま味があります。

かぶせ茶

栽培方法は玉露と碾茶と同じです。春先の柔らかい芽を摘んで作られたお茶で、玉露や高級煎茶の味を引き立てるために混ぜて使われます。

碾茶

玉露と同様に、新芽の頃に覆いをして栽培し、蒸してそのまま乾燥させ、茎を取り除いたお茶で、抹茶の原料として使われています。

抹茶

碾茶を茶臼で挽いて粉末にしたものです。鮮やかな薄い緑色(うぐいす色)のものは甘味と香りがあって上級品ですが、暗緑色になるほど渋味が増してきます。抹茶は空気にふれると変質しやすいので、使用する前に臼で挽きます。ほかの日本茶に比べて、ビタミン、ポリフェノール、カフェインが豊富に含まれています。

煎茶

一般に「緑茶」と呼んでいるものです。太陽の下で育てた葉を蒸して揉み、乾燥したものです。香り、うま味、渋味がほどよいのが特徴です。

玉緑

茶煎茶の一種で、丸形に仕上げられたものです。

ぐり茶

煎茶の一種で、玉緑茶の中でとくに蒸気で蒸したものを呼んでいます。 番茶新葉が伸びて堅くなった葉、芽、茎、粉などを原料としたもののほかに、二番茶の遅づみのものや三番茶なども材料になります。甘味が少なめですが、すっきりした味わいです。

川柳

高級番茶の総称です。高級煎茶となる一番茶から分別されたお茶で、下級煎茶よりもうま味があります。

茎茶

茎だけを集めて作られたお茶です。玉露の茎茶は「雁音かりがね」と呼ばれ珍重されています。「白折しらおれ」も上級品です。

粉茶

粉末だけを集めて作られたお茶です。玉露粉と煎茶粉があり、緑色のはっきりしているのが上級品です。低級品は茶こしから落ちたり、見た目が細かく、俗に「けむ粉」と呼ばれています。

ほうじ茶

番茶や茎茶を強火で炒ったもので、香ばしくさっぱりした口当たりです。炒ることでカフェインとタンニンが少なく、子供、お年寄りや病人用のお茶として向いています。ただビタミンCが著しく低下します。上級品は葉の色がきつね色で、細い茎や細くよった葉が多く含まれています。

玄米茶

炒った玄米を番茶、煎茶や玉露に混ぜたお茶です。上質のものは餅米の玄米、その他のものはウルチ米の玄米を使っています。玄米の香りで香ばしくなります。

釜いり茶

高温の釜で炒ったお茶で、嬉野茶や青柳茶などごく一部の地方で輸出用に作られています。「グリ茶」とも呼ばれ、香りがよく、渋味や苦味がほとんどありません。

成分: お湯に溶け出すものと、茶殻に残るもので成分が異なります。捨ててしまっている茶殻には7割以上の栄養素が含まれています。基本的に水に溶けにくいアミノ酸、脂溶性ビタミン、葉緑素、炭水化物などは湯水には含まれません。
 主成分はカテキンですが、ほかにフラボノール、テアニン、フッ素、亜鉛など数え切れないほどたくさんの成分が含まれています。

お湯に溶け出す成分

カテキン、カフェイン、アミノ酸(微量)、ビタミンB群、ビタミンC、サポニン、フラボノール、ミネラル、水溶性食物繊維など

茶殻に残る成分

βカロチン、食物繊維、ビタミンE、クロロフィル、タンパク質、カテキン、カフェイン、アミノ酸など

作用・効能

多くの成分が含まれている分、その効能も多岐にわたっています。特に、煎茶にはレモンの5倍以上のビタミンCが含まれています。成分別に効能を表にしました。なお、カフェインは一煎目にほとんど出尽くし、ビタミンCも二煎目以降にはほとんど含まれていません。タンニンは三煎目までは出ます。

成分

作用・効能

カテキン(タンニン)

抗酸化作用、老化抑制作用、活性酸素除去作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用、発ガン抑制作用、抗腫瘍作用、突然変異抑制作用、血中コレステロール低下作用、血圧上昇抑制作用、血小板凝集抑制作用、血糖上昇抑制作用、消臭作用、解毒作用、腸弛緩作用、収斂作用〜癌の予防、風邪の予防、虫歯予防、口臭予防、消化促進、神経性便秘、タバコのヤニ除去、火傷、洗顔

ビタミンC

抗壊血病作用、抗腫瘍作用、老化抑制作用、血中コレステロール低下作用、抗ヒスタミン作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、解毒作用、ホルモン分泌改善作用〜脳卒中・脳梗塞・動脈硬化の予防、ストレス解消、風邪の予防、疲労回復、頭痛、鎮痛作用、貧血回復、皮膚の荒れを防ぎ艶がでる

フラボノイド

血管壁強化作用、消臭作用、抗酸化作用〜血栓形成の抑制、癌細胞増殖抑制、白内障抑制

ビタミンE

抗酸化作用、血流改善作用、老化抑制作用、黄体ホルモン分泌改善作用〜動脈硬化抑制、ストレス疲労の回復

テアニン

カフェインの拮抗作用〜精神疲労の緩和

フッ素

虫歯予防〜骨を丈夫にする

カフェイン

覚醒作用、中枢神経興奮作用、利尿作用、強心作用(間接的)、アルコール分解作用〜疲労回復、ストレス解消、血液循環の促進、新陳代謝の活性化、二日酔い

亜鉛

味覚機能の向上、乳・幼児の発育促進、傷口の治癒、老化抑制作用

サポニン

去痰作用、消炎作用、強心作用(直接的)、胃収縮作用、筋弛緩作用

γーアミノ酪酸

血圧降下作用

カロチン

発ガン抑制作用

多糖類

血糖低下作用

作用

精神疲労の緩和作用

アミノ酸の中でもっとも多く含まれているテアニンは気持ちを和らげる働きがあります。脳に働いて穏やかな気持ちにしてくれます。

抗酸化作用

カテキンとビタミンEは活性酸素を壊して無害にしてくれます。活性酸素が必要以上になくなると、組織や細胞へのダメージが減少しますので、腫瘍ができにくくなります。ビタミンEは血液をさらさらにしますので、若返りとボケ防止になります。忘れっぽくなったり、記憶力がなくなってきたら、早めに対処しましょう。

環境ホルモンの排泄

今話題の環境ホルモンを尿中に排泄し、体内に蓄積させないようにしています。

覚醒作用と利尿作用

ちょっと濃いめの渋いお茶にはカフェインが多く含まれており、コーヒーと同様に眠気を抑え、トイレが近くなります。しかし、カフェインの量はコーヒーの半分程度と少なく、テアニンがカフェインの作用を抑えているのでコーヒーほどの作用はありませんが、人によって効き方が違いますので、お茶の種類と濃さでどの程度の効果があるのか自分で確認してください。

脂質代謝の促進、デンプン質の糖化抑制

カテキンには、コレステロールや中性脂肪の上昇を抑制する働きがあります。また、デンプンを分解して糖に変えるアミラーゼという酵素の働きを抑えるため、血糖の上昇を抑えます。ダイエットや糖尿病の人にもお勧めです。

抗菌、消臭作用

カテキンによる効果です。この作用を利用した製品が身近なところでたくさんあります。たとえば、靴下や洋服などの衣類、シーツ、ペットフード、掃除機やエアコンのフィルター、冷蔵庫などの脱臭剤などなど。お寿司屋に行くとお茶が出ます。
 また、胃潰瘍や胃がんを引き起こすとされているピロリ菌、最近話題の病原性大腸菌O−157を始め腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、ブドウ球菌などの食中毒起因菌、赤痢菌やチフス菌、水虫の白癬菌、虫歯菌などの細菌、百日咳菌やインフルエンザウイルス、エイズウイルスなどのウイルスの増殖を抑えたり、死滅させる働きのあることが知られています。

美味しいお茶の入れ方

1.水は一度沸騰させる

 水道水は一度沸騰させてカルキ臭を無くします。軟水のミネラルウォーターにはマグネシウムが少ないので美味しいお茶になります。

2.お湯の温度は80〜70℃くらい

 熱すぎると渋味が強くなり、低すぎると甘くなります。沸騰したお湯をポットに入れてしばらく放置しあまりフーフーしなくても飲める程度の温度です。

3.お茶葉は一人分2〜3g

 一人分湯呑み一杯としてお茶葉は2〜3gが適量です。人数に合わせてお茶葉の量を増やします。

4.急須は茶こしが注ぎ口についているもの

 茶葉が広がって味も美味しくなります。

5.最後の一滴まで注ぐきる

 お湯を入れすぎて急須にお湯が残ったままにしておくと味がなくなり、美味しくなくなります。必ず最後の一滴まで注ぎきってください。

6.一回のお茶は3杯くらいまで

 美味しいお茶は一杯目ですが、上手く注ぐと3杯くらいは飲めます。

7.急須と湯呑みは温めておく

 前もって急須と湯呑みを温めておくと、お茶の温度が冷めないので美味しくいただけます。

飲み方: <注意>

  1. お腹の空いているときや胃の中に食べ物が残っていない状態の時に濃いお茶を飲んだり、日常的に毎日お茶ばかり飲んでいると胃の粘膜を刺激し、胃壁を傷つけ、時には胃炎を起こします。口臭の要因にもなります。食前に飲むのも胃の消化を妨げる要因になります。お茶は必ず何か食べながら、または食後に飲むようにしましょう。また、お年寄りや小学生以下の子供にも刺激が強すぎます。玄米茶とか番茶などにしてください。
  2. お茶には体を冷やす作用がありますので、必ず温めてから飲むようにしてください。それでも、体を冷やす作用がありますので、冷え症の人はご注意を。特に夏は冷えたお茶を飲みたくなりますが、どんなお茶でも冷えたお茶は体によくありません。
  3. 薬をお茶で飲む人がおりますが、頭痛薬なと゛カフェインを含んだ薬をお茶で飲むとお茶の中のカフェインといっしょになり作用が強くなります。また、胃腸薬など鉄、アルミニウム、マグネシウムなどの金属塩を含む薬はタンニンと結合して薬の効果がなくなりますので、薬は白湯で飲むようにしてください。なお、鉄剤はそれ自体の量が多いためお茶で飲んでもほとんど影響がないということです。
  4. 一晩おいたお茶は飲まないようにしてください。お茶がらは湿ったままです。タンパク質の腐敗やカビの発生とともにタンニンが変質して胃腸に悪影響を及ぼします。
  5. 就寝直前にお茶は飲まないでください。カフェインの覚醒作用で寝付きが悪くなります。眠る2〜3時間前までとし、どうしても飲む場合はほうじ茶か番茶にしましょう。ただし、受験生が夜なべする時はコーヒーよりも緑茶のようが栄養価が高く、風邪の予防にもなりますのでよいです。
  6. 基本的に緑茶は作用が強いので、虚弱体質の人や病気療養中の人、病後、お年寄り、子供などでは避けた方がよいです。飲む時は薄目のお茶を間隔をおいて1日1〜2杯にしましょう。

まずは、朝一杯のお茶を飲んでから仕事に出かけましょう。お茶の効果を得るには一日に5〜10杯くらいは飲みましょう。飲み過ぎは逆効果です。
夜や仕事の合間にリラックスしたいときは、玉露を飲みましょう。少しぬるめのお湯でいれた甘味のあるお茶でないと効果はありません。ぬるめのお湯ではカフェインはほとんど抽出されません。
血糖やコレステロールの気になる人が脂肪や糖分の多いお菓子やケーキを食べるときは、いっしょにお茶を飲みましょう。このようなカテキンの効果を得たいときは、少し渋めのお茶を飲みましょう。
虫歯の気になる人は歯磨きのあとにお茶で口の中をゆすぐと効果があります。食事のあとにお茶で口をゆすいでも口臭消臭、虫歯予防になります。しかし、歯痛止めはムリです。
お茶の効能を有効に活用するには、やはりお茶の葉も食べる習慣をつけたほうが良いと思います。昔の人はお茶は飲むのではなく、薬用として食べていたのですから。ただし、一度にたくさん食べ過ぎたり、持続的に食べているとタンニンの効き目が強すぎて胃の弱い人は胃炎を起こすことがあります。

お茶の利用法: 風邪の予防あるいは風邪に罹ったかな、と思ったらお茶でうがいをすると効果があります。カテキンの殺菌作用で菌を殺し、収斂作用で傷ついたノドの粘膜を保護します。
あかぎれ、虫刺され、いんきん、たむしには濃いお茶をガーゼに浸して湿布します。水虫でも同様ですが、かゆみは取れても根治はしません。

茶殻・茶葉の利用法: 切り傷・・お茶の葉を水につけて軟らかくし、よく揉んでから傷口に当てます。
 オムツかぶれ、股ずれ・・葉をよく揉んで患部に貼るか、細かな粉にしてふりかけます。
 茶殻にはタンパク質がまだ残っています。捨てないで、庭木や草花の肥料にしましょう。
 乾燥させたものは脱臭、防臭効果がありますので、通気性のある袋に入れて冷蔵庫、車、洋服ダンス、トイレの脱臭剤として使えます。
 普段捨てている出がらしの茶葉は有効利用できますし、ゴミの減量にもなります。